「持ち家」政策の位置づけ

2011.09.30

日本の住宅政策には、一つの問題点があります。それは、住宅政策が経済対策と位置づけられ、結果として「持ち家」支援を中心にした政策・税体系が「逆進的」となってしまったことです。住宅ローン金利の税額控除や、(旧)住宅金融公庫の長期・低利融資といった、持ち家支援の政策に膨大な税金が投入され、「公庫(貸出限度)枠」の拡大・追加も行なわれてきました。また(旧)日本住宅公団の住宅建設も、分譲住宅が中心でした。1戸当たりの建築面積が賃貸住宅の2倍から3倍になる持ち家の建設は、それだけ経済効果も大きかったのです。そして持ち家推進の政策は、社会の安定に寄与するとも考えられてきました。一方で基本的には、低所得者に対する家賃補助は行なわれてきませんでした。生活困窮者に対する生活保護には最低生活費の一項目として「住宅扶助」がありますが、一般的な低所得者を対象にした制度ではありません。また諸外国で行なわれているような、低所得者層に対する低廉な家賃の公共住宅・公的補助住宅の供給も、わが国では極めて貧弱です。持ち家支援に重点を置いた住宅政策の結果、中堅所得者や場合によっては高額所得者に税の補助を大きく与え、借家住まい・低所得者層に対する住宅補助・援助のためには税金は使われてきませんでした。住宅政策に関して、所得再分配機能はほとんど果たされずに、「逆進的」な再分配になってしまったのでした。

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