仕切り役が大ケガで欠場、再び現場が収拾がつかなくなる

2011.12.02

職人たちのまとめ役をやっていた棟梁が、突然の事故で右腕に大ケガを負ってしまったのだ。仕切り役が欠場した現場には助っ人が入るも、職人ばかりが増え、片腕を失ったU社長は方々を飛び回るなど、再び収拾がつかなくなっていく。しかも注文が細かいせいか、現場との意志疎通がおざなりになると、職人らは待ち構えていたかのように、差し入れを持って訪れる私に、われ先に質問を向ける。「奥さん、キッチンのさ、シンクの奥に電線通してっから、それを隠すのだけど、カバー素材はプラスチックのパネル切っていいの」「ええっと」「ちょっと寸法見てよ。

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このくらいだろ」キッチンユニットと、ランダムにレンガを貼った壁の境目に通る、いくつかの管や線を覆い隠す技についての質問だ。キッチンユニットと壁の間には、調味料が置けるくらいのちょっとした台ができあがる。「料理していて手を怪我すっからさ、角っこに付ける見切りはどうします?」どうしますと言われても、何と答えればいいのかわからない。U社長に聞いて下さいよと言うと、奥さんに指示を仰げって言われているものでと、定規のような棒状のプラスチックを数本持ってきた。イギリス風インテリアの味付けならできるが、棟梁と同じ知識を私に求められても、それは無理というもの。パニックになりかけていると、浴室から「奥さん、イタリアのタイルはパネルの上に付けるの?それとも切断しちゃっていいの、パネルをよ」と、せっかちに返を求められる。U社長に連絡をとっても、他の現場で留守番電話になるばかり。