もともと戦前の日本では、長屋に代表される借家住まいが一般的でしたが、戦後になって米国流のライフスタイルが輸入され、今では持家率が60%を超えるまでになりました。これは英国と米国に次ぐ、世界3位になります。日本人にはマイホームへの独特の感情があります。1国1城の主になる、家を持てて初めて家族の絆が作れるなど、今やマイホームに対する憧れや夢、思い入れはわれわれ日本人にとって並大抵のものではないでしょう。その上、国も企業も家を持つことを勧めて、いろいろな奨励策を行っています。例えば、住宅ローン控除や住宅ローンの利子補給(金利の1部負担)などです。住宅手当を支給している会社もあります。住宅ローンはマイホームという夢を買うためにする多額の借金です。一方で、国民1人ひとりが家を持つことは、国が認め推奨する大きな政策でもあります。その結果、国民1人ひとりに住宅ローンという「多額な債務」を背負うリスクを与えています。リストラによる失業や収入減が返済を滞らせ、下手をすると、返済のためにまた借金をするという「多重債務」の入口になる危険性さえ秘めています。それにもかかわらず、実際に住宅購入を決断する際、お金を借りる側、貸す側ともに冷静かつ慎重な判断をしているのか、いささか疑問が残ります。そこでまず、私の体験も踏まえて、借りる側、貸す側、そして住宅取得を国民に奨励する国家の本音を考察してみたいと思います。
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